クラフティズム 加藤鉄平 大阪西区のデザイン事務所

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家具と永く付き合っていくために
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〜生活の『道具』としての家具〜

 今から3年くらい前のことです。私は、久々に実家を訪ねました。狭く薄暗いダイニング。乱雑に鍋やフライパンが積み重ねられているキッチン。生まれ育った実家は、お世辞にも綺麗な家とは言いがたい空間。そのダイニングキッチンの真ん中に「ドン」と居座るダイニングセットがあります。私が物心ついた時からそのダイニングセットはありました。ある木工メーカーの無垢のブナ材のものですが今から約30年前、私の両親が結婚した際に購入したもののようです。

 私が子供の頃、悪さをして両親にこっぴどく怒られたのも、このテーブルでした。誕生日を祝ってもらった時も大晦日に家族で年を越しそばを食べたのも、このテーブルを囲んでいました。このダイニングセットは私にとって家族の『象徴』のような存在です。この歳になり実家に帰って、ダイニングセットに座ると昔の懐かしさが蘇ってきます。テーブルの裏には私が子供の頃に描いた落書き。天板はたくさんの傷、コップの輪じみ。それらがうっすら模様のようになり、天板と一体化され何とも言えない味のある表情をしています。

 このダイニングセットは、まさに生活の『道具』として使用されてきたのです。

 本来、『家具』とは『家財道具』であり、生活の道具として仕様されるべきものだと私は思います。大工の棟梁がノミを研ぎ、錆び止めに椿油を塗って1本のノミを長年にわたり使用してゆくのと同じように、私たちは生活の道具である家具を、棟梁のノミのように、料理人の包丁のように、生活の道具として使用してゆくべきだと思えます。

 一言で「家具を永く使うために」というと、傷がつかないように丁寧に扱ったり、コップのシミ作らないようにマメにコースターを使ったり、そういったことをイメージしますが、私はそんなことではないと思います。
現在も残っているアンティーク家具を見ていると、木材の収縮で隙間が空いていていたり、タバコの焼け跡や落書きのような傷跡、コップの輪じみなどが何層にも重なって、その風合いがなんとも言えない独特な艶と主に一体化され重厚で存在感のある雰囲気をかもし出しているのです。これこそが生活の道具として使用されていた証なのです。

 日本人は大事に丁寧に家具を使う傾向が多く見られるような気がします。
ヨーロッパ人は傷が付こうが、木が割れたり反ったりしても、さほど気にもせずに、どんどん使っていきます。なかにはアイロンの焼け跡がついているものまであります。彼らから見ると日本人の家具に対する扱いが『過保護』なように見えるそうです。ハードユースによって、家具がたくましく存在感を得てゆくという価値観は、なかなか現代の日本人には理解しがたいかもしれません。しかし、日本人の私たちもジーンズや古着などはこのような感覚があますよね。わざとビンテージのように使い込まれてはき古された風合いを出したり、破れた箇所があったり、それがかっこいいという感覚は、まさに『道具』として使用された風合いが力強い存在感をかもし出していることに他ならないのです。一見乱雑に扱っているように見えても長い間『道具』として使用されてきた物は、過保護に育てられたそれよりも、たくましく力強い存在感を得ることはまぎれもない事実です。

私が実家のダイニングセットから学んだ教訓は、家具は永く使用することによってはじめて、それは『道具』としての家具を超えて、私にとって特別な存在になるということです。しかしそれは『道具』として長い間使用された家具にしか到達することのできない領域なのかもしれませんね。

株式会社クラフティズム 代表取締役 加藤鉄平
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